早稲田大学実践起業インターンREAL

早稲田大学とビジネスバンクグループが共同で実施する「実践起業インターンプログラム」です。

ブログリレー第11回 2度目の挑戦で見えた3つの失態

service

 こんにちは。第11回目のブログリレーを務めさせていただきます、INNOVATORS' GUILD事業部の武田です。

 さて、前回の川上に引き続きこの一年間の事業の振り返りをさせていただこうと思います。事業立ち上げ前半に関する部分は川上がある程度まとめてくれたので、私は後半の部分で直面した課題などを中心にまとめさせていただこうと考えております。

 私たちの事業部では、こちらの「INNOVATORS' GUILD」というサービスの立ち上げを目指して活動させていただき、僭越ながら私自身が代表として旗振り役を担当いたしました。立ち上げは想像を絶する厳しさではありましたが、学ばせていただくことも多くありましたので、この機会に「3つの失態」という観点からまとめさせていただこうと考えております。

 

 稚拙な文章になるかとは思いますが、お付き合いいただければ幸甚に存じます。

 

後期に行っていた事業について

 事業の振り返りの前に、実際にどんな事業の運営をしていたのか、簡単にご紹介させてください。

description

 後期の事業は川上が紹介してくれた前期の事業からピボットした「新米エンジニアの教育事業」でした。具体的にはエンジニアになりたいという方と一緒にチーム開発をしながら一緒に成長していこう、という事業です。エンジニアが個人で学習するサービスは増えていますが、チームでの開発を学ぶ場所は整備されていません。前期のプランでは「そもそもエンジニアが足りない」という壁にぶち当たったので、「それならエンジニアの育成から始めよう」という発想でビジネスプランをピボットすることにしました。

 さて、ではここから本題となる「3つの失態」についてお話していきます。

新規事業立ち上げ 3つの失態

 信頼関係構築における失敗

 ここが最大の失敗といえると思います。通年の問題にはなっていたのですが、私のチームには「各個人が各個人の裁量の下で成果を出す」というある種の社内文化がありました。これは私自身が「成果を出してくれていれば、各員が好む方法で活動すればよい」と考えていたことに起因するものと考えています。

 しかし、この方法では「何かの指示に従って行動したほうが成果を出せる」というタイプの方々の力を引き出すことができず、仕事について「これやっておいて」という丸投げに近い印象を与えてしまうことにつながりました。また、方向性がずれていた時に取り返しのつかない問題が生じる危険性もあります。

 加えて、メンバー間での自己開示が他のチームに比べて圧倒的に少なかったと思います。ほかのチームが親睦会等を行う中、私のチームは親睦会どころか、チーム全体で行動することすら少ない状況でした。そのような状態ではチームメンバーが何を目指し、何のために活動しているのかが全く分かりません。

 この結果、私たちのチームは全チームの中で最も多くの離脱者を出してしまうこととなりました。1年間最後まで残って事業の運営にかかわってくれたのは私を含めた3人、そしてその共通点は、この事業を始める以前からお互いに面識と信頼関係があったということでした。事業の成果を上げるためには、活動計画云々以前にその信頼関係の構築が必要不可欠であると反省しています。

 

情報共有の不足

 この失敗に端を発する問題が、後半の事業運営における最大のボトルネックとなってしまいました。これについては実際に致命的ともいえる事態を招いてしまったので、実例を交えて振り返っていきたいと思います。

 事業運営の後半ではマーケティングや見込み客フォローを見直し、柱としてTwitterアカウントの運用を新規に加入してくれたメンバーにフロントの部分を任せることにしました。当初は急激な勢いでアカウントが成長し、フォロワー数はすぐに3桁を突破。最終席には800人を超える方がフォローしてくださいました。それに合わせてLPを設計、流入数もコンバージョンを考えれば上々といえる数値でした。しかし、後が続きません。事前登録という形で登録してくださったユーザーが実際の理由を渋る事態が発生しました。ですが、当時私はサービスのβ版のテスト運用で手いっぱいで、鯨飲の究明に入ることができませんでした。運用を担当してくれていたメンバーに確認をとっても有益な回答を得ることはできませんでした。

 結局原因はそのTwitterのアカウントを直接確認することによって発覚しました。それは「想定していたユーザーと集まってきたユーザーの乖離」です。そもそも私はTwitter自体をあまり使っていなかったので、Twitterアナリティクスを使って数値だけを追っていました。しかし、これではどんなユーザーが集まっているかまでは確認することができません。実際に集まってきてくれたユーザーは、私たちが提供しているサービスに対してハードルを非常に高く感じてしまい、サービスのご利用につながらなかったのです。

 端的には「導線の設計ミス」のように見えますが、根本的な問題は「担当者との情報共有の不足」にあることは明白です。新しく加入してくれた担当者に対して、「ペルソナはこんな人で、このような情報を好むと思うから、それを加味した情報を発信してほしい」と明確にお願いできていればこの事態は避けられたと思います。前述した信頼関係構築の失敗と合わせて、事業運営に亀裂を入れてしまった大きな要因でした。

 今回Twitterを運用してくれた担当者の方は、結局チームを去りました。決して彼に能力がなかったわけではありません。必要な情報開示のできなかった私にこそ責任がありました。

 

自分自身の精神的弱さ

 極めつけがこれです。今後のために明かしてしまうと、事業の運営が後半に差し掛かった時、その過程で「これはうまく回らない」と感じることが増えてきました。当時、事業部の旗振り役と同時にβ版の開発チームのリーダーも務めていましたが、実際のところはどれもうまく回っていませんでした。先に上げた集客の問題をはじめ、β版の開発もバグと修正の嵐。最終的にはチームで開発した部分をすべて捨てて、一人でアプリケーションを作り直すことになってしまいました。アプリケーションの作り直しは本当につらかったのですが、事業の運営そのものとどちらが厳しかったのかと聞かれると答えに詰まります。

 正直なところ、このような状況に陥った時にどのような対応をすればよいのか、今でも答えは出ていません。しかし、当時の私はもっとも愚劣で卑しい選択である「立ち止まる」「保留する」という方向に流れてしまったと反省しています。どんな形であれ事業に正面から向き合い、「戦い続ける」という姿勢が私には欠けていました。

 

新規事業立ち上げを推進する中で感じたこと

 実は私自身、この事業の立ち上げは初めての経験ではありませんでした。高校時代に友人と開発した文化祭の情報提供アプリの事業化に向けて奔走したのが初めての経験です。当時は営業の方法から見込み客フォローの設計まで、その何もかもを知らない状態でした。当然事業は失敗、本当につらい思いをしましたし、ものすごくやつれました。

 今回の事業では立ち上げのための技術的な部分を再度学びなおしての挑戦だったので、失敗の質としてはより高いものになったと思います。顧客フォローの設計や売り上げ予測しかり、システム開発もその一つです。ですが、多くのことを学んだことで、自分自身の本質的な弱さにも目を向けることを迫られることになりました。確実に言えることは少なくともこの事業の立ち上げを通じて、「起業家を志すもの」としては幾分か前に進めたということです。

 有益な情報をあまりご提供できないことは心苦しく思っております。しかしながら、「敗軍の将は兵を語らず」というように、私から偉そうにいえることはありません。この経験も次の挑戦の糧として、さらなる事業の立ち上げを目指したいと考えています。ここまでお読みいただいた皆様には「こんな失敗をした人間もいるのか」程度に思っていただければ幸いです。

 

最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

 

 

 

~今回のライター~

早稲田大学商学部3年 武田政和

 

学生生活で打ち込んできたものは「キーボード」という灰色(#4d4d4d)の青春を送ってきた男。

次こそは勝利をつかむため、ともに活動した川上と新規事業の運営中